※ 眼は昔のカメラと同じ構造をしています。
外の光は瞳からレンズ ( 水晶体 : すいしょうたい ) を通り、眼の中に入っていきます。
眼球の中は、透明なゼリー状の水( 硝子体 : しょうしたい ) でみたされています。目は、中に水が入っている、ピンポン球のようなものだと思っていただければよいですね。
ものを見る働きで一番大事な場所は、入ってきた光を感じる眼の奥の内側の壁です。
カメラのフィルムに当たるものですが、それを網膜 ( もうまく ) といいます。
網膜で感じ取った光の情報は、神経を経由して脳の中に入っていきます。
・ 網膜は、眼球の内側の壁の7〜8割を占めていますが、その中心の部分、視力に大事な場所が黄斑 ( おうはん ) です。少し、黄色っぽく見えるので、黄斑と言います。
ここには、眼の病気が色々と起こります。
☆ そのひとつが、黄斑上膜 ( おうはんじょうまく )です。
( 網膜の中心にある、黄斑の表面に薄いセロファンのような膜が出来てしまう病気です。)
・ 黄斑の上に膜があるので、黄斑上膜と言うわけです。
他の言い方では、黄斑前膜 ( おうはんぜんまく ) や 黄斑前線維膜( おうはんぜんせんいまく ) があり、すべて同じことです。
黄斑の上か前かは、見方で変わる表現です。
・ この膜 ( 線維膜 ) は元々網膜の表面にあったものが、年齢とともに少し形が変わってできると思ってください。
膜自体が悪いわけではないのですが、病気が進むと、膜にひっぱられて、網膜がゆがんで、正常な形がこわれてしまうために見え方が悪くなってしまいます。
・ 年齢とともに自然になることが多い病気ですが、眼の他の病気に関連して起こることもあります。
年齢的には、50代以降が多いと思います。
・ 最初のうちは自覚症状はありませんし、
大半の方はそのまま一生なんともなく過ぎてしまいます。
・ 自分で感じる症状としては、
1) 視力が落ちること、
2) ものがゆがんで見えること、
3) ものが大きく見えること、 があります。
たまたま眼科を受診して、医者から指摘されることが多いようです。
※ 治療は手術しかありません。
( まれに、自然になおることがあります。)
手術用の顕微鏡を使い、眼の中に針のように細い器械を入れて、黄斑の表面の膜をピンセットではぎとります。
50 歳以上の方では同時に白内障の手術 ( 眼内レンズ手術 ) も行います。
・ このような眼の中の病気をなおす手術、硝子体手術 ( しょうしたいしゅじゅつ ) は最近非常に進歩していますが、その中では軽症の手術になります。局所麻酔で1時間以内に終わります。
短期間入院する場合、外来通院で行う場合があります。
・ ゆがみなどの自覚症状が強かったり、矯正視力が落ちてきたら、手術を考えるのが一般的な適応です。
※ ただし、ゆがんで見える、ものが大きく見える、という症状は、手術をした後、軽くはなりますが、
100 % 元通りにはならないと考えてください。
また、視力が落ちて何年もたってから手術をすると、視力の回復があまり良くないこともあります。
比較的新しいうちに手術をすると視力は元にもどります。
・手術をすれば、手術前よりも自覚症状が改善するのが普通ですが、人によってその満足度は違います。
理想的な結果を得るためには早めの手術がよいのですが、逆に言えば、そのような時期には自覚症状はありませんので、手術を行うことは現実的ではありません。
※ この病気で失明することはありませんので、あまり気にならないという方は経過を見ていくことになります。