みかさんの絵 13

3人の使者

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「 3人の使者 」    

  65 × 85  cm  ぐらい  ( フレームの大きさ )


 使者  ( 3  messenger というタイトル ) という言葉はあまり使われないかもしれませんが、3人と聞いてすぐにキリスト降誕 を思い浮かべました。

 三人の博士、賢者。

 フレームは黒で、きれいな紋様が彫られていてステキなものです。
   30年2月に帰国されたときに持参された作品です。


 この絵を見て、富士山と言った方がいました。下方の絵の切り取られた形が三角形で確かに山のようです。
  頂点の部分は白い空で、雪をかぶったように見えています。


 今回は、白黒で色のない作品が比較的多くありました。白黒ですが、モノクロームという言葉を使いたい気がします。

 ページワンに作品が置いてある、松本幸治さんの写真もフィルムでとるモノクロームのものです。黒澤明の映画もそうですね。

  モノクローム(単色)というと何だか黒と白の区別しかないように思いますが、そうではありません。黒も白も、その中に光のグラデーションがあり、豊かな表現がされています。


 カラーの作品は一見多様な表現力があるようで、むしろ不自由なものともいえます。

モノクロームの方が見る側で受け取り方を強制されず、自由にできるように思います。
 
ものであふれている現代が決して自由ではなく、なにも無かった我々の子ども時代が、かならずしも不自由ではなかったように。

 モノクロームの作品を見ていて、色がないことが気になることはありません。頭の中に浮かび上がるその姿にはちゃんと色彩がついています。



 
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 三つの絵の中は全部羊たちです。まわりにも羊のエンボス、空を飛ぶ鳥たちのエンボスがあります。
 
    stray sheep

 中に描かれている羊の群れの感じは、古いヨーロッパの本の挿絵のように見えます。

 
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( みかさんの絵   12  ) で変形の作品という表現を使いましたが、この「 3人の使者 」も言ってみれば変形の作品です。

一般的な四角形の画面を使わないということですが、これ自体特にめずらしいことではありません。

 きりとられた形の中に、一つの世界が描かれています。これは、みかさんの絵の特徴で、「 海の振動 」( みかさんの絵  1  )で触れたように、ウミガメという形態を使って、その中に別な世界を描いていると述べたことと違いはありません。

  ウミガメ、恐竜、胡桃、などの形態がはっきりしているものではなく、「 3人の使者 」では特別な意味をもった形ではない、というだけです。

  「 山と雲 」もそうですし、「 インファント島 」もそうでしょう。

 もちろん切り取る形の造形は、絵として十分に配慮されているわけですし、作品によっては、形態にもある程度の意味を持たされているものもあります。

 「 3人の使者 」でも、3つの形と並べ方に全体の絵のバランスが見事にとられ、魅力につながっているわけです。


 

山の足跡

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「 山の足跡 」   

    70 × 70  cm ぐらい (フレーム全体の大きさ)


   今回、素描の作品を何枚かもってきてくれました。

 これもその一つです。ピレネーの山のカモシカでしょうか。アンテロープなんていう名前が、なんとなく浮かびます。少しいいかげんですが。

 2頭並んでいますが、どちらも手前に黒い影のような形があり、後方にはそこから時間のずれがある、動きを見せた姿を描いています。

 上方に描かれた葉にも、下に影のような姿が見えます。

 真上に貼られた色紙は何でしょうか。みかさんの他の作品、たしかドリームキャッチャーの一つに、同じ形態のものがあったように憶えています。2本の足のようにも見えるのですけど。なんだかカエルを思い出します。

 フレームは黒で、ざらざらした質感のもので、この絵によく合っています。

 
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 手前の黒い姿は影のようです。実体のあるものには見えません。後ろの動きを伴う絵も、同じです。過去の動きを見ているようです。
 
 足跡もそうですね。それ自体は確かな実体によってつけられたものですが、それを見ている現在では、すでに存在しないものの記憶を見ているだけです。

     形を持った残像。

 足跡は実体の一部ともいえないものですが、時間がたてば実体を代表するものになるのは、そくせき、という言葉が象徴しているようです。

    時間は歴史ですね。記憶も、思い出も。


 

森の汽笛

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「 森の汽笛 」  

   55 × 95  cm ぐらい ( フレーム全体の大きさ )


  30年2月に持参されたものです。
 
 新しいフレームですが、雪絵さんおすすめで、作品にピッタリのものです。フレームを合わせるのは、絵を理解していなくてはできません。 


 左側には影のように切り紙で貼られ、飛んでいる鳥。

「 春の夢 」 ( みかさんの絵  5 , 11  )で描かれているかたちと同じですが、色合いはこちらの方が少し暗い感じです。

 右側には葉っぱの形ですが、とりかごの中にいるように見える鳥が描かれています。

  みかさんは色々な形態を使って、その中に別な世界を描くのが得意です。
 
 まわりにも葉がエンボスされています。

 
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 この色合いはいいですね。明る過ぎず、落ち着いています。
絵の感じは日本画を思わせる枝ぶりで、琳派のようです。

  もっとも鳥の描き方を見ると、ヒュー ロフティング の挿絵に似ています。

  もちろん、「ドリトル先生」です。

  緑のカナリアではありませんけど。 ピピネラ。

 

土 地

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  「 土  地 」  

     92 × 50  cm ぐらい ( フレーム全体の大きさ )


   数年前の作品です。中央の絵の拡大。

  これは酒盃のようなものでしょうか。それとも水鉢ですか。
  中に2艘の小船が浮かんでいます。

 舟を漕いでいる人は中国南部か東南アジアの人のようです。舟の形もアジア的です。


 

木の女神

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「 木の女神 」  

     高さ 38 cm

   2019年に持参された木彫の作品です。


  みかさんらしい丸みを帯びた顔立ちで目を閉じています。胸の前で手を合わせ、祈りの姿でしょうか。

 素朴な作風で、アフリカの民芸品といった雰囲気もあります。

   時々、頭をなでています。